死とは?その答えは稲垣栄洋さんの本書にのっていた。
人間ではない生き物の生と死を知ることで、私たちの生き方がみえてくる。
生き物をみていると死ぬ理由、死とは、を理解できるような気がする。
稲垣栄洋さんの生き物にストーリーを作ってわかりやすく説明する本書は、ジャンル的にはエッセイ。
けれど、生き物の生態を知る学びの内容も盛り込まれている。
29項目からなる子孫を残す、そして死へ向かうお話はちょっとロマンチックでフィクションのよう。
生き物が寿命を全うすることはない
自然界のルール。弱ったものは生き残れない。
これは生き物の定めのよう。
草食動物も肉食動物も同じ。
人間は?たとえ弱ったとしても手段はある。
長生きすることができるのだ。
では、必ず寿命を全うすることなく死んでいく生き物たちの話を知りたくなる。
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カマリキのオスが食べられるのは1~3割
カマリキのメスは狂暴?
いえいえ、そんなことはありません。
稲垣栄洋さんの本書を読めばすっきり。
極悪非道なカマキリのメスなんていないようです。
カマキリのメスは卵を産み育てるために栄養がたくさん必要。
食欲に支配されるように生きています。
オスとメスのバランスが悪いように思える生き物でも、子孫繁栄のサイクルを最優先して生きています。
死ぬ理由、死とは?という疑問も子孫繁栄と関連しているようです。
40㎝のメスと4㎝のオス チョウチンアンコウ
さらに、死ぬ理由、死とは?を考えるきっかけになるエピソードが。
深海魚のチョウチンアンコウ。
私たちが見ることはないチョウチンアンコウのオスとメスは
人間からすると驚くべき生態です。
オスは生殖活動以外の臓器を持たず、メスに寄生して生きるそうです。
子孫を残し終わったオスは、メスに吸収されて死をむかえます。
可愛そうなチョウチンアンコウのオス…
と、胸が痛くなりましたが、稲垣栄洋さんは別の視点でするどくコメントしています。
これぞ、男の中の男。
オスはメスに精子を届けることが役目。その役目のみに徹底するチョウチンアンコウは男の中の男。
なるほど。
生存競争が激しい深海で
生き残るための進化を遂げた興味深い生態がチョウチンアンコウのオス。
強く、潔い、かっこいいオスなんですね。
生き物の世界に吸い込まれた読書時間でした。