おべんと帖百 伊藤まさこ 2016年発行

お弁当をめぐる100の話
著者である伊藤まさこには胡春(こはる)という名前の女の子どもがいます。スタイリスト、著作家として忙しい毎日を送っているはずの伊藤まさこですが、毎日のお弁当作りは欠かせない様子。伊藤まさこと同じくグルメである娘の胡春に作るお弁当は、さぞ豪華なんでしょう、と思います。食まわりのプロである伊藤まさこが、日々娘のために作るお弁当を100日分集めた一冊が、おべんと帖です。
高校3年生が喜ぶお弁当
高校3年生がお昼の時間を楽しみにするお弁当、気になります。まるでよそ様の家庭をのぞき見しているような気分で、この一冊を読んてみてください。中には前日に夜遅くまで仕事をしていた翌日のお弁当、冷蔵庫の中になにも残っていない日のお弁当、ちょっと失敗してしまったお弁当、などこの本のために豪華なお弁当を作っていないところが読んでいて共感できました。
お弁当に込める思い
お弁当の写真とエピソード、最後に残さず食べた娘への感謝を書き残している伊藤まさこ。どのエピソードも大きなものではありませんが、母の娘への愛情を感じることができます。最後の一言、娘へのメッセージは子どもを持つ親ならば感じることかもしれませんが、改めて文字で読むと、胸が熱くなりました。
お弁当作りが好きになる1冊
この本には、伊藤まさこに所縁のある有名人がおすすめするお弁当が載っています。旅のお供にぜひ持っていきたいお弁当は、販売しているのを見つけたら買ってみたいと思うものばかり。手作りのお弁当から隠れた名店のお弁当まで、お昼の時間に胸躍らせるようなものばかり載っています。
旬の食材を使ったおかずレシピ
美味しいものに貪欲で常に食材が一番美味しい方法を見つけている伊藤まさこ。この本の中にも伊藤まさこがおすすめするお弁当に入れても美味しいおかずのレシピが載っていました。お弁当を開けたら、思わず歓声をあげてしまいそうな一品。マンネリしてしまうお弁当だから、この本を参考にして作り手も食べる側も飽きないお弁当を目指してみましょう。
お弁当100日分で見えてくること
この本には過度に飾られたお弁当は出てきません。どれも、ほどよく力が抜けていて美味しそうなものばかり。昨晩ののこりのおかずだって、冷凍していたおかずでも、お弁当に入っているとまた違う気持ちでいただくことができます。伊藤まさこが大切な人に送る毎日のお弁当には、娘の体を考えた愛情がたっぷり入っていました。
