作者のすごいところは、言葉を研究し尽くしているところ。それは偉人、古今東西の故事、だけでなく一般の人同士の会話からも言葉の見え方がある。親子の会話、客と店員の会話、日常で話されている言葉を研究してる面白い本。言葉って奥深いな。言葉遣いが生む悲喜こもごものエピソードが書かれた本。
言葉の品格とは
ずばり言葉を価値のあるものとして大切に発すること。言葉は発した人物の真の姿を現す、鏡のようなもの。作者がつづる言葉はまさに品格を感じさせます。言葉足らず…余計な一言…など、言葉を上手く使えていないなと感じる人はぜひ本書を読んでみてください。
イ・ソンギュとは?
作者であるイ・ソンギュは韓国の作家、言葉についての著書を多数出版しています。ソウル経済新聞、韓国大統領スピーチライターなどの経歴を経て、ベストセラー作家として活躍中。成均館大学卒。
言葉の帰巣本能とは
本書の中でたびたび出てくる言葉の帰巣本能(動物が元の巣へ戻る様子を表した言葉)は、言葉の重みを感じぜざるおえません。あなたの口の形は、あなたが発した言葉で形どられています。そして、発した言葉(音)はあなたの耳にも入りあなたを作っているのです。言葉がどれだけのパワーをもっているのか改めて考えさせられます。
聞く力
作者が重要だと考えるもう一つの聞く力。オバマ前大統領のエピソードを元に聞く力が話す力よりも求められていることを学ぶことができます。そして、聞く力を鍛えるには話している相手の本質を理解することも大切なようです。これには、話す前に聞く。とにかく聞くことがコミュニケーションの第一歩のようです。
李舜臣の戦術 耳を差し出す
ここで面白い聞く力のエピソードがあります。李舜臣の人物像と戦術。耳を差し出す?一体どういう意味?と思いますよね。戦でも武器のように使われていた聞く力。本の中でたびたび出てくる偉人のエピソードの中でも面白い話です。
同情と共感の違い
本書の中では同情と共感の違いを作者の体験したエピソードを交えながら説明しています。同情と共感にははっきりとした違いがあり、間違って使っているとえらいことに…。共感するためには、自分自身が豊かであることが大切なようです。そして、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまっている同情。あなたの一言は同情ですか?それとも、徳ある共感でしょうか。
感嘆詞と質問力
聞く力の重要性がわかったところで、次に作者が注目するのが相槌です。大切なのは尊重し合うコミュニケーション。そうはわかっていても難しいのが相槌。しかし、この点に気を付けたコミュニケーションをとるだけで、あなたに話した相手の傷は癒されていくのだと作者は言います。
交渉力
歴史の人物のエピソードを紹介して言葉の武器の説得力ある話が書かれていました。孫武は戦わずして相手を倒すことが、戦で重要としていたことだそうです。戦わずして言葉で勝つ、には交渉のスイートポイントを狙うことが大切なようです。本の中では交渉力が上がる話も書いてあります。どう反応する?
反応すること
言葉と言葉の間にある間。作者はこの間に注目しています。間の中にはあなたのタイミング、態度なども含まれていて、間を上手に使うことであなたの発言の重みが増すことがあるのです。本の中では上手な間の取り方を解説しています。
ファスト社会
作者は現代の”早いものが一番いい”とされる考え方が危険だと言います。そして、すばやく反応するデメリットもあるのだとか。有名な著書もある鈍感力についても本の中でふれています。
易地思之(ヨクチサジ) 相手の立場に立つ考え方
易地思之(ヨクチサジ)は意外とできているようでできていないことのようです。この章ではある親子のエピソードとともに、相手の立場に立つことについて考えていきます。そして、易地思之な考え方と行動を解説します。
SNSでのトラブル
SNSが便利になった分、SNSが理由で傷つけられることも、傷つけてしまうことも増えたのかもしれません。作者はSNS上での悪意のあるコメントに対して警告しています。陰口の最終地点は陰口を言った本人である、と。SNS上でのマナーある言葉を選びたいですね。
心の声があなたの言葉となっている
口から出まかせ、なんてなかなか言えないものです。作者は言葉は心の声だと言っています。そして心のこもっていない言葉には一時的な力しかないのかもしれません。言葉と心が一致することが、人を動かすパワーとなるようです。
言葉と行動の一致
ニューヨーク貿易センタービルのテロ事件の日、ジュリアーニ市長がとった行動と発言。作者はこの出来事がまさに言葉と行動が一致した、人の心を動かすものだと言います。人が一番信頼できる人物とは言葉と行動が一致している人物なのですね。
本質と非本質
作者は最後に言葉の本質について解説しています。話し方が人よりも上手である、ことが言葉を話すうえで最も重要なことなのか?作者が思う言葉の本当の意味について問う最後の章はまさに心に響く内容でした。